「・・・あっ・・・きょ・・・やせんぱ・・・」


絡めとられる、意識と理性。

歯列をなぞられ、侵入を赦せば・・・抗うことなど叶わずに。
後はただ、流されてゆくだけで。





―――これは、ただの慰みでしかないのに。










それでも、その背に廻した腕に力を込めてしまう僕は・・・きっと、もう壊れているのかもしれない。















   
ガル、マル・・・
















「・・・今日は随分と素直だな、馨」



僕たち以外誰もいない第三音楽室に、凛とした鏡夜先輩の声だけが、小さく響く。
その眼鏡の奥の瞳が、笑みを模るように、スッと細められる。

・・・笑っているのに、笑っていない。

感情も、温もりも微塵も感じさせることがない・・・鏡夜先輩の闇を塗りこめたような
深い黒を湛えた瞳に、不覚にも目を奪われた僕は、一瞬、我を忘れる。




「・・・馨?どうした・・・随分大人しいが」

「何でもないヨ・・・触らないで」



言葉と同時に、そっと顎へと添えられた指先が、僕の唇の上を滑るようになぞる。
先程までの感触が鮮明に蘇り、湧き上がってくる熱から逃れたくて・・・僕はその手を振り払う。



「鏡夜先輩こそ、らしくないじゃん・・・僕たちの関係は、ただの暇つぶしみたいなもんデショ」


「・・・ふん、そうだな」













―――そう、僕らの関係は・・・恋とか、愛とか・・・そんな血の通った生温い感情なんて、
全く持ち合わせてなんかいないから。













全てはあの日から・・・始まったんだ。

















           






本当にさわりの部分だけ。
スミマセン・・・どうしても双子BDに間に合わせたかったんです。




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